2021年3月23日火曜日

小さく始めよう【起業を迷っている方向け】

 こんにちは、中小企業診断士の白井です。 

 起業というと「資金調達→店舗や設備用意→商品作り→営業開始」のような流れを想像する方も多いと思います。しかし、いきなり多額の借金をしたり、長期にわたって経営を制限する固定資産を持つのは、予めかなり入念な計画を立てる必要があります(計画なしに資金調達は行えません)。そして必ずしも計画通り事業が進むわけではありませんので、リスクも大きくなります。

 優れたアイデアや商品があることと、事業が採算に乗ることは別問題です。様々な要因が重なり、その事業が軌道に乗るまでに時間が掛かることもあります。重い固定資金を背負うということは、不確実な環境変化への耐性が落ちることを意味します。

 せっかく面白い商品やサービスが、資金繰りという事情により日の目を見ることなく終わってしまう・・・これは非常にもったいないことです。

 そこで考えて頂きたいのは、ビジネスを小さく始めるということ。小さく始めるとはどういうことか。それは、高額な投資や出費を行わず、今ある資源(時間、物的資源、ノウハウや技術)でお客様のニーズを満たすことを考える、ということです。

 例えば美容室は通常店舗を持つことが必要と思われますが、「おしゃれを提供する」という美容室の”はたらき”に着目してみると、その手段として店舗は絶対条件ではないと気が付きます。

 もちろん、サービスに合わせた世界観を体現するために店舗が必要、という考え方もあります。しかし、最も大切にしたいことが「カット技術」なのであれば、店舗は後回しにして、まず「カット技術」を届けることを現有資源でできないかを考えてみます。例えば出張サービスなら、お客様の施設で施術できるようになるので、店舗を持たずとも価値を提供できます。

 雑貨販売ならECサイトや、イベント出店で提供する、などです。

 路上の靴磨きから始め、今では青山に会員制の店舗を持つに至った靴磨き専門店もあります。

 このような小さなビジネスは、会社員をやりながら休日に行う副業から始めることも可能です。そしてここから先が重要なことです。

 副業で超低リスクでビジネスをやりながら、そこで出会った顧客の情報を取得し、関係性を深め、徹底的に顧客ニーズや自社サービスの改良点をヒアリングしていくのです。これで得た顧客資産とニーズ情報は、何にも勝るあなたの資産になります。

 そしてある程度ファンができ、ニーズを把握でき、それに応える商品サービスに改良できた段階で、あなたがやりたいより大きな投資を行い、起業する・・・

 このようなステップを経ることが「小さく始め、大きく育てる」ビジネスの始め方です。

 そして、たとえ少額でも自力でお客様からお代を頂戴できる経験は、自信につながります。

 自己資金がほとんど用意できないような場合や、未経験業界で起業する場合、融資のハードルは相当高くなります。仮に融資を受けられたとしても相当なリスクを背負う必要があります。

 しかし、だからと言って自己資金が溜まるまであなたの持っている商品・技術・ノウハウが世に出せないのも非常に勿体ない話です。また、市場は常に変化しますから、何年もお金を貯めて起業を先延ばしにしているうちに、マーケットのニーズがなくなっている可能性もあります。

 確かに起業にリスクは付き物ですが、そのリスクを最小限にした形でお客様に価値を届けることは可能です。副業という形で、あなたの持つ強みや提供価値の中から低コストで提供できる価値とその届け方を見つけてみると、起業の夢がグッと近づくと思います。

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